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ブレグジットに「血のにおい」

[ロンドン ロイター] - 最新のデータで見ると、ヘッジファンドのポンド売り持ち規模は昨年5月以来の大きさになっている。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先週の交渉行き詰まりを踏まえると、恐らく足元ではもっと売り持ちが膨らんでいて、これから過去最大規模に迫ることになるだろう。
ポンド/ドルが1.42ドル超で取引されていた今年4月以降、投機筋のポンドに対する弱気姿勢は強まる一方となり、先月にはポンド/ドルが1.27ドルを割り込む場面があった。
そして米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、直近週のポンド売り持ちは7万9258枚、65億1000万ドル相当に達した。
ただこれは18日までの1週間の数字だ。その後の20日にザルツブルクで開かれたEU非公式首脳会議では、ブレグジット(英のEU離脱)方針について英国とEUの溝があらわになり、離脱までわずか半年を残すだけとなった段階で話し合いは強固な壁に突き当たった。外為市場に関する限り、それは合意なしのブレグジットの確率を高めたにすぎない。
ポンドを急落させるにも十分で、対ドル下落率は1.7%と1日としては約2年ぶりの大きさを記録。既にポンド安に賭けていたヘッジファンドが、そうしたポジションを拡大した可能性は極めて大きい。
18日までの週の7万9258枚という売り持ちは、CFTCがデータ集計を開始した1995年以降でも有数の大きさで、これを上回った時期はブレグジット支持派が勝利した英国民投票後の2016年7月─17年5月までの1年間しかない。
今年4月時点で投機筋はポンドを4万7702枚、42億6000万ドル相当買い持ちにしていた。それからの弱気転換は急激で、直近の売り持ちが65億1000万ドルとなっているので、5カ月の金額ベースの振れ幅は107億7000万ドルに達した。
しかもこれは氷山の一角ではないか。ある大手銀行のアナリストチームは、CFTCが集計するポジションは、世界全体のポンド売り持ちの約20─30%にとどまると試算している。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのサイモン・デリック氏は、行内の資金フローのデータに基づくと投資家は「ポンドを敬遠し続けている」と述べた。JPモルガンのアナリストチームも、顧客にポンド売り持ちを維持するよう提言する。
ドイツ銀行のオリバー・ハーベイ氏は、メイ氏の演説がポンドにとって「大きなマイナス」だったと指摘。ブレグジットに関する合意成立を依然として基本シナリオとしつつも、協議状況が日増しに悪化している事態へのヘッジとしてユーロに対してポンドを売るよう勧めている。
16年6月の英国民投票以降、ポンド/ドルの値動きとヘッジファンドのポジションはかなり相関性が高い。この先数カ月もそれは変わりそうになく、両者を主に左右するのは引き続きブレグジットと英国の政治情勢になる公算が大きい。
ハーベイ氏は、ポンドの状況はいったん今よりもっと悪くなる可能性があると述べ、英政治情勢が悪化すれば大幅に値下がりする余地が残されているとの見方を示した。


このロイタ-コラムのタイトルは、『ブレグジットに「血のにおい」』。よく考えますね。
私fxdondonは、別に血のにおいは感じませんが(笑)
メイ首相は「英国にとって都合の良い交渉が進まなければ、英国は合意なき離脱に備える」と、EUが英国の主張に譲歩しなければ、合意が得られないまま離脱することも辞さない姿勢を強調しました。
ここが、そもそもおかしいと英国以外の人は思っているでしょう。何で、EUが英国に歩み寄る必要があるのか?
英国では政治だけが独り歩きしているようで、企業では新たな拠点を欧州大陸側に設ける動きが広がっています。BMWは離脱することに伴う混乱を避けるため、英国にある工場の操業を来年4月1日からおよそ4週間、停止することを決め、今回の決定はいち早く逃げ出した金融業に続き、製造業でもブレグジット対策に乗り出す動きが出ていることを示しています。ヒト、モノ、カネが英国という離島から欧州大陸へと移動し始めています。英中銀のカ-ニ-総裁は、経済に無頓着な政府を懸念し、すでにブレグジットの悪影響に対する金融政策を策定しているとコメントしています。
そして、英国を除くEU加盟27カ国は、依然として争点となっているアイルランド国境問題が解決しない限り、英国との合意はあり得ないとの点で一致しています。
欧州委員会のユンケル委員長は、「10月までの合意成立に期待するが、欧州委は合意なしのブレグジットへの備えがある」、ドイツのメルケル首相は、「EU単一市場を巡る妥協はあり得ないとの点で全加盟国が一致した」とコメント。英国がEUからの離脱で「逃げ得」となる妥協はいっさいしないという、逃亡者に対して温情は必要としない姿勢を示している。
私fxdondonの頭の中には、「英国はEU離脱の報いを受ける必要がある」というフランスの前オランド大統領の発言が記憶に残っています。
まぁ、永遠に下がり続ける相場はないが、ポンドの下げはまだ下げ足りないという個人的観測と、上記金融機関の人たちの考えは一致しているようです。