fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

ハードブレグジット(強硬なEU離脱)

(ロイタ-)    英中央銀行は6月、来年3月に「ハードブレグジット(強硬な欧州連合=EU=離脱)」となった場合でも英国内の銀行は対処できるとの認識を示した。
欧州銀行監督機構(EBA)は、英国のEU離脱に向けた銀行の準備が十分に進んでいないと指摘した上で、銀行は公的な支援介入という「奇跡」を期待すべきでないと釘を刺した。
しかし、英中銀のカーニー総裁は、EBAの主張には不備があるとした上で、EUの銀行がブレグジット後も英国で銀行業務を継続することを認める一時許可制に触れ、「英国政府がこれまで明確にしている一時許可制をEBAは認識していない」と語った。
さらに、英当局は金融安定リスクへの取り組みを一方的な形で推し進めているが、ブレグジットのリスクを包括的に軽減するにはEU当局による取り組みも必要との考えを示していた。
また3月以降の移行措置で合意できない場合、英・EU銀および企業が保有する29兆ポンド(38兆ドル、4000兆円超)相当のデリバティブ金融派生商品)を巡る法的拘束力が引き続き確保されるよう、EUは英国と同様の対応にコミットする必要があるとした。

英国が「ハードブレグジット」となった場合は、英国のEUとの貿易関係は相互に希望する関税をかけたり、貿易制限をする関係となります。その結果、企業のコスト上昇、欧州内での競争力が低下することになると同時に、世界的にもトランプ政権による貿易戦争に巻き込まれることになります。
そして、金融機関については英国で得ていた単一パスポートの権利を失い、EU向けの金融サービスができなくなることを意味します。最終的に、部分的なアクセスにとどまらざるを得ないというのが最良のシナリオです。そのため、29兆ポンド(38兆ドル、4000兆円超)相当のデリバティブ金融派生商品)がどうなるのかに注目が集まっています。
英首相の声明によると、製品や農産物の分野ではEU側の通商ルールに従う。金融サービス分野の一部では、EUと現状通りの取引ができなくなることを受け入れる。EU側の「いいとこ取りは許さない」との主張に配慮して、妥協した。
一方、完全に離脱して、英国の主権をEUから取り戻すことを求める強硬な離脱派にも配慮。国民投票で離脱を支持した民意の背景にある移民の規制については「人の移動の自由を終わらせる」と明記した。また、EU加盟国の漁船が英国領海内で操業することを認めず、英国の海域を自国でコントロールする。しかし、離脱派の議員は「離脱が骨抜きになる」と反発している。
EU離脱のプロセスは、欧州連合条約(TEU)に従って行われ、完了までに2年を要します。TEU50条の定めるところに従い、加盟国が離脱する場合、EUと交渉を行い、離脱に関する取り決め及び離脱後のEUとの関係性を定める合意を締結した後、EUから脱退することが可能です。合意に至らない場合、英国は、脱退の意思決定の通知から2年後にEUの諸条約の適用を除外されます。
どうするんでしょう。残された時間は、あと8ヶ月と迫っています。