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景気循環には終わりがある - 米国好景気は終盤

ブル-ムバ-グ

好調な米国経済が間もなくピークを打ち、景気循環の終盤を迎えるとの見方が専門家の間に広がっている。住宅市場が減速の兆しを見せる中、貿易摩擦が米企業の生産活動に追い打ちをかけるのは避けられないとの懸念が背景にある。
今年4~6月期の米経済は、減税が消費者や企業のマインドを高揚させ、好況が続いている。同期の実質国内総生産(GDP)伸び率は4%に達して2014年以来の高成長を記録する可能性がある。トランプ大統領は「GDP伸び率が4%レンジに達するかどうか、今に分かる」と述べた上で、「米経済はそれさえ超えるだろう」と自信を見せた。
しかし、こうした好調が短命に終わるリスクが高まっている。米住宅市場は供給制約や地価高騰が原因で一段の拡大は容易でなく、20日発表された5月の住宅着工許可件数は予想外の大幅減少となった。パンテオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏はリポートで、「5月の住宅着工許可件数が市場予想を下回ったのは天候が理由ではなく、いつものように新築住宅販売のペースを反映したものだ。新築住宅販売は市場サイクルのピークを付けたとみている」との見方を示した。
不安要因は住宅市場だけではない。製造業は受注残の増加や原油など投入物価格の上昇ペース加速で過熱状態にブレーキがかかり、金属輸入への輸入関税もその一因となっている。さらに、トランプ大統領は何千億ドルもの中国製品に追加関税を賦課する構えで、米中は貿易戦争の瀬戸際にある。
一連の悪材料が重なれば経済への逆風が増すことになる。トランプ政権は、こうした好況時だからこそ、中国をはじめとする貿易相手国・地域への圧力を強める好機だと主張するが、19日の市場が下した判定はそれほど楽観的でなく、通商問題が長引けば企業や消費者の先行きは険しいものになるだろうとエコノミストは指摘する。
現行の米景気拡大は間もなく10年目に入るところで、通常は一段の高みを目指す上でハードルに直面する局面にあるが、仮に米経済が減速すれば、世界的にも成長の勢いを失いつつあるのとタイミングが重なる。
オックスフォード・エコノミクスの米マクロ経済担当者、グレゴリー・ダコ氏は「米経済はピークに近づいている。勢いはここから鈍化し始めるだろう」と指摘。この上で「経済自体が景気循環の終盤にあって既に生産能力の限界に近づき、輸入代替も容易にできず企業の間に貿易摩擦への懸念が広がっている時局に通商リスクが台頭してきた」との見方を示した。
トランプ政権の通商政策をめぐり米連邦準備制度理事会FRB)のパウエル議長は20日、欧州中央銀行(ECB)がポルトガルのシントラで主催した公開討論会で「通商政策の変化は見通しに疑問を抱く必要性を生じさせかねない」「投資の先送り、雇用の延期といった決定が初めて聞かれるようになった」などと語り、米経済に与える影響に強い警戒感を示した。
ブルームバーグ・エコノミクスの米経済チーフエコノミスト、カール・リッカドンナ氏も「通商問題への懸念は家計や大手製造業を対象にした景況感調査で表面化しつつある。こうした声はさらに大きくなり、経済への逆風は、年初に成立した税制改革による恩恵を台無しにする可能性がある」と指摘した。

S&P500種株価指数が1月に最高値を付けた時が強気相場のピークだったことが今後判明するとともに、米国が1年以内にリセッション(景気後退)入りする可能性があると、グラスキン・シェフ・アンド・アソシエーツのチーフエコノミスト兼ストラテジスト、デービッド・ローゼンバーグ氏が指摘した。
ローゼンバーグ氏は、「景気循環には終わりがある。どのように終わるかご存じだろうか?米金融当局が自らの額に銃弾を撃ち込むためだ」と述べた。
S&P500種は1月26日に最高値を更新してから約4%下落している。
金融危機前にグレートリセッション(大不況)を最初に警告したエコノミストの1人であるローゼンバーグ氏は市場について、完全雇用下の賃金上昇や商品相場の低迷、貿易摩擦の可能性を伴う古典的な景気循環の後半にあるとした上で、結果的にインフレ高進を招くと語った。
同氏はさらに「市場の著しいシフトを目にすることになる。今回の景気循環で1000ポイント上昇をもたらしたのは米金融当局だ。巻き戻される時に何が起こるか注意を払う必要がある」と論じた。