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欧米金融政策の違い

12、13両日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と14日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会では、世界的な金融危機後に導入した政策アプローチからゆっくりと離れる姿勢を確認すると同時に、そのスピードは一様ではなく、違いはさらに鮮明になる可能性がある。金融市場にとっては興味深い問題が浮上する。
FOMCでは以下のことが予想される。
(1)0.25%の利上げ(2)次回利上げが早ければ9月(12月ではなく)になる可能性を否定しない(3)今年は合計3回の利上げという基本シナリオを維持(4)リスクバランスは4回利上げの方向に傾斜したと示唆(5)バランスシート縮小計画を再確認(6)ドットプロットについては、自然利子率をめぐる新たな臆測を招くような重大な変更は見送る。
インドやインドネシア中央銀行当局者は米金融当局に対し、利上げに当たって新興経済国への影響に一層配慮するよう呼び掛けているが、米金融当局が同情を寄せることはほとんどなさそうだ。パウエル議長は先月、チューリヒで行った講演で「外国の金融情勢に及ぼす米金融政策の影響は誇張して受け止められるケースが多い」と述べ、米当局に向けられた批判にはっきりと反論した。
一方のECBの理事会ではユーロ圏経済について明るい絵を描いてみせつつ、不透明感の高まりが経済や金融、政治面でみられることから、一部の市場で期待されている政策の発表は見合わせる可能性が高い。つまり、9月に資産購入を通した量的緩和策(QE)を終了させるのではなく、少なくとも3カ月は継続、さらに延長する可能性を残すことになるだろう。そうなれば利上げサイクルに突入するタイミングも後ずれが予想される。
中央銀行は今週、金融政策をゆっくりと正常な状態に戻していく姿勢を確認すると同時に、そのスピードに引き続き差があることを浮き彫りにするだろう。
また米国とユーロ圏の経済見通しの相違も広がることにより、両者のペースの違いは今後数カ月の市場バリュエーションにより強いインパクトを与えそうだ。(ブルームバーグ


Fed調査(CNBC)


経済専門局CNBCが市場エコノミスト、マネーマネジャーなどを対象に実施した恒例のFED調査によると、市場参加者はこの6月FOMCFRBが追加利上げを行うことを100%織り込んでいることが明らかになった。9月の利上げも81%織り込んだ。ただ、2018年の利上げペースでは、平均3.5回と、依然3回と4回予想に、まっふたつに分かれた。2019年も同様に2.6回。2回と3回の利上げ予想に分かれた。FOMCメンバーの予測でも、2018年の利上げペースが、前回3月に開催された米連邦公開市場委員会FOMC)時の予測で、3回と4回見通しが拮抗した。
6月FOMCでは、最新の見通しが発表される。FOMCメンバーが果たして、金利見通しを引き上げたかどうかに引き続き焦点が集まっている。市場はまた、インフレが低迷する中、FOMCが金融政策で中立水準を若干上回る水準まで引き締めると予想していることも明らかになった。また、FOMCが利上げを打ち止める水準は3.29%。2016年8月時点の2.29%から1%ポイント引き上げられた。インフレ率が上昇、景気も3%成長への加速と、良好な経済が予想されていることが背景となる。
国労働省が発表した5月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.8%と、予想通り4月+2.5%から上昇し、2012年2月以降ほぼ6年ぶり高水準となった。また、米連邦公開市場委員会FOMC)がインフレ指標として注視している燃料や食料品を除いたコアCPIは、前年比で+2.2%と、予想通り、4月+2.1%から上昇。2017年2月以降ほぼ1年ぶり高水準となり、FOMCの利上げ軌道を正当化する結果となった。
著名投資家のポール・チューダー・ジョーンズ氏はCNBCとのインタビューで、11月の中間選挙以降、第3、4四半期に金利が急騰するとの予想を示した。さらに、利上げのタイミングに関するバターンを変えるため、パウエルFRB議長は全FOMC後の会見を検討しているという。米ウォールストリートジャーナルWSJ紙が報じた。現行で、議長の会見は四半期ごと。このため、金融政策の変更のタイミングも会見がある月と必然的に考えられてきた。この、パターンが修正されることにより、全ての会合での利上げが可能となる。市場では4回の利上げの可能性を織り込み始めた。
Fed調査(CNBC)
■利上げ予想6月:100%、9月:81%、2018年平均:3.5回、2019年平均:2.6回
■米10年債利回り現在:2.98%、2018年末:3.23%、2019年末:3 51%
■金融政策中立水準を上回る:62%、上回らない:32%、わからない:5%
FOMCが利上げを打ち止める水準3.29%(2016年8月時点2.29%)
■成長見通し2018年2.9%、2019年2.8%(2017年実質2.3%)
■景気後退に陥る確率13.8 %