fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

英中銀(BOE)総裁 マーク・カーニーさんの発言、そして検証

まずは、英中銀(BOE)総裁 マーク・カーニーさんの発言から。

[2018-01-26]
「英経済は成長は持ち直しの動きが見られる」
BREXITは短期的に英経済に影響を与えている」
欧州連合(EU)との将来の関係を巡る不透明感が解消されれば、英経済は今年、成長の足取りを速め、世界経済に対する遅れを取り戻す可能性がある」
「金融システムは資産価格変動を増幅しないだろう」

[2018-01-31]
「投資は増加しているが、世界的な需要は十分ではない」
Brexitが英経済に及ぼす影響について幅広い経済的方針を確保している」
「国内景気が金融危機にともなう難局を乗り越える兆しをみせるなか、中銀はインフレ抑制に焦点を戻しつつある」
「強いドルを望むとしたトランプ米大統領の発言を評価する」

[2018-02-08]
「英国の需要の成長は供給の成長を上回る見通し」
「需要やポンド安は輸出業者が最適領域に入っていることを意味する」
「国内インフレ圧力、堅固な公算大」
「英国のインフレは再び短期的に3%を上回る可能性」
「CPIの目標到達はより速い利上げを意味する」
「いかなる利上げも緩やかになるだろう」
金利はより速く上昇するのではなく、若干速く、若干広い範囲となる」
金利が危機前の水準に上昇するとは話していない」

[2018-02-20]
「仮想通貨ビットコインは伝統的な基準に沿えば通貨としては失敗したとし、価値貯蔵手段としても、物品などの購入手段としても通用しない」

[2018-02-21]
「最大の不確実性はBREXIT
金利の特定の道筋についてコミットしていない」
GDP成長率が1.5%を超えるならば刺激策を終了する場合がある」

[2018-04-20]
「利上げの正確なタイミングを過度に注目したくない。金融政策委員会(MPC)会合は年内に他にも予定されている」
「今後数年での数回の利上げに備えている」
政策金利は今年、上昇し得る」
「英国のEU離脱を巡る先行き不透明感が投資増加の抑制要因になっている」
「短期的に英経済成長は加速しない。生産性は上向いておらず、賃金の伸びは制限される」
「英中銀は経済を安定軌道に保つよう対応する」

では、検証してみましょうかね。

カーニーさんの1月の発言
「英経済は成長は持ち直しの動きが見られる」と楽観的だったが、この3月時点での現実は成長減速。

カーニーさんの2月の発言
GDP成長率が1.5%を超えるならば刺激策を終了する場合がある」としたが、この3月時点では成長率が1.2%と減速。
利上げどころか、刺激策はそのまま継続されるでしょうし、ドテン利下げ観測・・・、それは無いか。

カーニーさんの4月の発言
「短期的に英経済成長は加速しない」と、英国のEU離脱という厳しい現実を認識。

英国経済にとって、やはりEU離脱が重くのしかかっている模様。

◆EU離脱後の英金融セクターによるEU市場アクセスについて、域外金融機関に現在適用している『同等性評価』制度で十分対応できると、EU側は見解を示している。外国金融機関がEU域内において外国の免許で営業すれば、EUの金融安定を保証できないとの考えを示した。
同等性評価制度は、外国の銀行、保険会社および資産運用会社に対し、当該国の規制がEUと同水準だと認めた場合にEU市場へのアクセスを認める枠組み。

◆英国とEUは第2段階協議の貿易交渉に入る前に解決が迫られている北アイルランド国境問題をめぐって協議に入った。しかし、6月のEU首脳会議までに合意するのは難しく貿易交渉にも入れないという厳しい情勢。

こうしてモタモタ、ズルズルと時間だけが経過していく。
基本的に、EU側は英国の「良いとこ取り」を許さない方針。英国に続く脱EU国(イタリア)をけん制する意味からも、安易な妥結はできない理由がある。
英国のEU離脱における重要な点は、やはり金融シティの動向。
英政府と金融機関幹部らは、英国のEU離脱後もEUがロンドンの金融機関に単一市場への広範なアクセスを保障するとの確信を強めていて、ロンドンが世界一の金融センターの地位を維持できるものと楽観視しているという。
これが覆されるような結果だと、それこそサプライズ、大ハプニング。英国株式市場、ポンド相場は急落(暴落)するでしょう。これが第二次ブレグジットショックの可能性ですね。
すでに英国の銀行や保険会社、資産運用会社は、その交渉結果にかかわらずEUの顧客との関係を維持できるよう、既にロンドンからEU域内に新たな拠点を設け、スタッフを移している。
そして、第三次ブレグジットショックの可能性は、スコットランドがイギリスから離脱(独立)すること。スペインの北東部に位置するカタルーニャ州同様の動きです。  

一方、英国内で新たなEU残留派による巻き返しの動きも強まっている。英下院のEU離脱特別委員会が4月4日、18年10月のEU首脳会議までにメイ政権がEUと合意した離脱条約案を承認するかどうかを決める際の15項目の判断基準(北アイルランド国境問題含む)を示した。15項目はEU離脱支持派がEU残留支持派の議員がまとめたと批判しているように難問だらけで、英紙デイリー・テレグラフ紙は15項目のうち、大半の9項目で“不合格”になるとの分析結果を報じた。
さらに、同委員会は貿易協議で、英国がEUと“特別なパートナシップ協定”を結べない場合、その代替案としてノルウェーのようにEU非加盟国がEUとEEA(欧州経済領域)協定を結びEU単一市場にアクセスする方法、もしくはEFTA(欧州自由貿易連合ノルウェーアイスランドリヒテンシュタイン、スイスの4カ国で構成)のメンバーとなることを検討するよう要求している。