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米国財政赤字急拡大へ

米議会予算局(CBO)は9日、米国の財政赤字が急速に拡大し、従来予想より2年早い2020会計年度(19年10月~20年9月)に、1兆ドル(約107兆円)を突破する見通しを発表した。トランプ大統領の看板政策である大型減税に加え国防費や公共事業投資など歳出の増加が要因。発表を受け、政権内では予算の見直しを求める動きも出ている。
CBOの報告書によると、18年度の財政赤字は8040億ドルと、昨年6月時点の予測である5630億ドルから大幅に増加する。19年度には9810億ドルに達する見通し。従来予想は6890億ドルだった。昨年6月のCBOの報告書では、米財政赤字が1兆ドルを超えるのは22年度と見込まれていた。
トランプ政権は今年、税制改革法を施行し、1兆5000億ドル規模の大幅減税を決定。連邦政府の歳入が減る見込みとなった上に、議会が約3000億ドルの歳出増加を承認したことが、財政赤字が膨らむ要因となった。米中両国による報復関税の応酬が世界経済に与える影響が懸念される中で、投資家の不安をさらに高めることになりそうだ。
予算監視団体「ピーターソン・ファウンデーション」を率いるマイケル・ピーターソン氏は「CBOの報告書は米国の財政見通しが、このわずか数カ月間で大幅に悪化したことを裏付けている。最近の税制改革や歳出増加が盛り込まれた結果、既に持続可能ではない水準に達していた財政状況に、議員らが莫大(ばくだい)な赤字を上乗せしたことがわかった」と憤る。
関係者によると、トランプ政権はCBOの発表を受け、先月トランプ氏が署名した1兆3000億ドル規模の包括的歳出法案に含まれる国内プログラムの予算縮小を議会に求める計画を立てている。数週間内に一連の予算削減案を送付する予定。
軍や国境警備、鎮痛剤として処方される麻薬オピオイドの乱用対策の予算には触れない意向だという。
共和党によれば、同党のマッカーシー下院院内総務とホワイトハウスは、大統領が歳出法案を承認した上で法案の一部廃止を議会に提案することができる、項目別廃止権限の利用を検討している。予算の削減規模や議会採決の日程は未定。
ただ、国内向け支出の拡大と引き換えに国防総省の予算増額を認めた民主党員からの反発は必至。共和党の一部議員からも、上下両院で合意にこぎ着けた法案の見直しをためらう声も上がる。
連邦政府の歳出を監視するタックスペイヤーズ・フォー・コモンセンスのスティーブ・エリス氏は「トランプ氏からの要請の規模が大きいほど、政権の提案が採用されるのは困難になる。甚だしい無駄遣いに的を絞った提案でない限り、怒りを覚えて反対する議員が増える」と慎重に見ている。(ブルームバーグ