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英国が議員内閣制だからこそ「合意なき離脱」の可能性が高い

Yahooニュ-ス
今井佐緒里
欧州研究者・物書き・編集者
フランス・パリ在住。ソルボンヌ大学(Paris 3)大学院・ヨーロッパ研究学院に在籍。日本EU学会会員。

なぜ4月12日?

欧州理事会は、3月21日の決定で、「離脱協定が来週(注:既に今週)の下院で承認されなかった場合、欧州理事会は2019年4月12日までの延長に同意し、欧州理事会による審議のために、英国はこの日付より前に、進むべき道を示すことを期待する」。
メイ首相は、6月30日までの延長を欧州理事会に申し出た。
でも、EU側に断られた。そのかわり、別の日程「否決なら4月12日まで」とEU側から提示されたのだ。
なぜ「否決されたら4月12日までに次を決めて申し出る」と欧州理事会は決めたのだろう。4月12日にはどういう意味があるのだろうか。
まず、3月末に合意案が否決されたとして、4月12日まで大体2週間。下院における解散・総選挙の決定は不可能ではない期間である。
英国では、解散から総選挙日まで25日が必要である。もし4月12日に解散したら、総選挙は5月7日ということになる。
ただ、4月12日までに次の道が決まっていればいいのだから、解散は4月12日とは限らない。英国では選挙は木曜日にやることが慣例となっている。4月12日は金曜日なので、もし週明けの4月14日月曜日に解散すれば、総選挙は25日後の5月9日、どんぴしゃりで木曜日だ。
英国側が総選挙や欧州議会選挙など望まないという可能性も、とても高い。
この場合は次のケースになる。つまりーー
1 否決されたが、合意なき離脱は嫌なので、何かの申し出(総選挙含む)と共に延期申請をEU側にする。しかし、EU加盟国に拒絶される。この場合は「合意なき離脱」になる可能性が極めて高い。
2 否決されて、英国自身が「合意なき離脱」を選択する。あるいは、ぐちゃぐちゃで制御不能の状態になり、欧州議会選挙にはもちろん参加しない=事実上EUから脱退している状態になり、なし崩し的に「合意なき離脱」となる。
となるのではないか。
でも「合意なき離脱」を過半数の議員は望んでいないはずだ。合意案は消え失せて、方策がなくなり途方にくれて、混乱だけになる。そんなとき、総選挙以外に方策が思いつくだろうか。議員内閣制の元では、総選挙しかないのではないか。
つくづく、このような国の危機に瀕するような状況に、でも「合意なき離脱」を過半数の議員は望んでいないはずだ。合意案は消え失せて、方策がなくなり途方にくれて、混乱だけになる。そんなとき、総選挙以外に方策が思いつくだろうか。議員内閣制の元では、総選挙しかないのではないか。


まぁ、確かに、英国が日本と同じように、議員内閣制だからこそ「合意なき離脱」の可能性が高いと思えます。