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ブレグジットショックでトルコリラは下落?

トルコの資産に対する投資家心理は9月以降に改善したが、それはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)に何の影響も与えていないため、同国は新興国市場の中で外的ショックに最も弱い状況にあるとブルームバーグ・エコノミクスが指摘した。
トルコはインフレ率がアルゼンチンに次いで高く、中央銀行の目標を大きく上回っている。さらに経常赤字見通しが新興国市場の中で最も深刻だと、ブルームバーグ・エコノミクスのエコノミスト、スコット・ジョンソン、ジアド・ダウドの両氏が分析した。
9月にトルコ中銀が6.25%の利上げを実施し同国と米国の関係が改善してからトルコ・リラは大きく持ち直したが、ドルに対し年初来では依然29%下げている。
この分析によると、トルコに次いで脆弱なのはアルゼンチンで、南アフリカ共和国とエジプトがそれに続く。
10~12月期(第4四半期)は通貨と債券が株式に比べよく持ちこたえているが、売り浴びせのきっかけとなり得る逆風は多い。月内に米国と中国が貿易摩擦を緩和できるかどうかは予断を許さない。米国では金利の上昇が続き、ドルは安定的に推移している。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、ハンナ・アンダーソン氏は、「投資家は今後ますます選択的になる必要があるだろう。市場心理を悪化させた逆風の一部は今も存在する」と述べた。(ブルームバーグ

トルコリラについては、個人的にも様子見が続きます。
トルコ統計機構の発表によると、2017年の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比11.92%の上昇、2018年は年平均20%近くになる。まともな国ではなく、エルドアン体制下のトルコでは大きな改善は望めないでしょう。
政策金利は24.0%と高いため、投機的な買いを集めているが、トルコはブレグジットの影響を大きく受けるものと観ています。
トルコの輸出入貿易で、英国への輸出割合が高い。最も影響を受けるのはドイツ自動車産業の動向だが、英国の要因も大きい。

トルコの貿易主要相手国
(1)輸入 中国(12.8%),ドイツ(10.8%),ロシア(7.6%)… 日本(2.0%,第12位)
(2)輸出 ドイツ(9.8%),英国(8.2%),イラク(5.4%)… 日本(0.3%,第62位)

トルコは中国の外注先ということではなく、ドイツ・英国の外注先であり、チャイナショックによる経済的損失は大きくないものと観ています。しかし、ブレグジットショックの影響は強く受ける可能性があります。
問題は、投機資金の逆流、つまりリスク回避の動きが強まれば、トルコリラは依然脆弱であることに違いはないでしょう。