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米景気の変調

米国経済が曲がり角に差し掛かりつつある。成長を維持しているものの、減速の予兆が見える。米国が仕掛けた中国との「貿易戦争」が重荷になり、連邦準備制度理事会FRB)が進める利上げも波乱要因だ。企業業績の異変を察知した米株式市場は乱高下を繰り返し、ダウ工業株30種平均は26日までの1週間で756ドル下げた。東京や欧州などの市場を揺さぶり、世界で株安が進んだ。
「中国での業績には失望している」。米自動車大手フォード・モーターハケット最高経営責任者(CEO)は落胆を隠さなかった。中国での販売台数は9月に前年同月から43%減と落ち込んだ。貿易摩擦激化で米国車が敬遠されたためだ。鉄鋼などの輸入制限による資材費上昇も収益悪化をもたらしている。
米小売業界を代表するアマゾン・コムが25日発表した年末商戦期の売上高見通しは市場予想を下回った。投資家は将来に危うさを感じ取り、幅広い銘柄で構成するSP500種株価指数は26日、9月の最高値からの下落率が1割に近づいた。
S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのシルバーブラット氏は「回復に効果があるのは貿易摩擦の解消だが、短期間で実現するとは誰も思っていない」と指摘する。
「米経済は歴史上最も良い状況だ」、トランプ大統領は11月の中間選挙に向けた集会で、経済の好調さを連日アピールしている。今年導入した大型減税も背景に、失業率が48年ぶりの低水準に改善。26日に公表された7~9月期の実質国内総生産(GDP)も前期比年率3.5%増と、年3%以上の成長目標を2四半期連続で達成した。
ただ、モノの輸出は7.0%減と、前期(13.5%増)から大幅に悪化した。中国の報復関税に加え、欧州や新興国の成長鈍化も響いた。利上げ継続によるローン金利の上昇で、住宅投資も3四半期連続で減った。
米家計は金融資産の多くを株式に振り向けており、株価が下がればGDPの7割を占める個人消費に影響を及ぼしかねない。9年余りにわたって息の長い成長を続けてきた米景気の変調は世界経済の先行きに暗い影を落とす。(ニューヨーク、ワシントン 共同)