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欧州金融業界 英拠点から独拠点へ、ロンドンからフランクフルトへ

欧州議会の経済・通貨委員会は25日、英国に本社を置く投資銀行ブレグジット後も欧州連合(EU)域内で自己勘定取引や債券引き受けなどのサービスを提供し続けるためには、欧州域内に子会社を設立する必要があるとする規制案を承認した。
EU各国政府の借り入れで中心的な役割を果たしている銀行、いわゆるプライマリーディーラーも、英国のEU離脱(ブレグジット)後も取引を続けたいならば、一部の事業をロンドンからEU内へ移転せざるを得なくなる可能性がある。
EU各国の借り入れの大半は、ロンドンを拠点とする投資銀行が手掛けてきた。また、欧州国債の最大7割が、ロンドンを拠点とする銀行によって入札におけるマーケットメーカーとして、ないしはシンジケート団を通じた投資家への直接販売の形でさばかれてきた。 その手数料収入が英国経済や財政をも潤わせてきたが、ブレグジット後にこれまで利用してきた「単一パスポート制度(1加盟国で事業認可を得るとEU全域でサービス提供できる権利)」を喪失することで、英国は厳しい状況へ陥る。
ロイタ-通信は、ロンドンからの移転が必要な具体的な事業の規模を論じるのは時期尚早とはいえ、発行事業すべてに加えて、国債販売・割り当てやマーケットメークなど関連サービスが対象に含まれてもおかしくない、と伝えている。
英金融大手のバークレイズとHSBCホールディングスは、ユーロ建て金利スワップ取引清算業務を巡り、ロンドンからフランクフルトへの移管を進めている。
独金融最大手ドイツ銀行は、ロンドンに保有する資産のうち最大で4分の3程度をフランクフルトの本社に移管することを進めている。
英国の欧州連合(EU)離脱を見据え、金融大手各社がロンドンからEUへの事業移管の準備を進める中、域内の金融都市間の誘致合戦でドイツ・フランクフルトが依然として優位を保っている。ヘッセン・チューリンゲン州立銀行(ヘラバ=Helaba)が24日公表したデータでも明らかになっている。
欧州金融を長らく支配してきたロンドンが、フランクフルトへと移り変わる動きは変わりそうにない。ただ、移転先はフランクフルトが優位なだけであって、一極集中しているわけでもない。
時事通信によれば、農林中央金庫の奥和登理事長は、来年9月までにオランダのアムステルダムに銀行を設立する方針を明らかにした。農林中金の欧州拠点は現在ロンドン支店のみ。英国の欧州連合(EU)離脱をにらみ、欧州大陸での金融事業を強化する。農林中金は各地の農協が集めた貯金を海外中心に運用している。奥理事長はオランダでの銀行設立について「英国のEU離脱への対応だが、投資先の地域と商品の分散につながる」と狙いを語った。現在の運用先は米国債の占める比重が高いため、欧州のプロジェクトファイナンスなどへの投資を増やすという。
農林中金・・・、蛇足になるが、2008年の金融危機で生じた巨額損失で問題になった。農林中金の米国サブプライム住宅ローン関連を含めた証券化商品の保有残高が7兆円、2つの米住宅金融会社、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の住宅ローンを担保にした証券の保有残高が3兆円と、10兆円もの不良債権を抱えたことは有名。
その反省からか、外債も今では米国債を中心として運用しているようですね。
しかし、機関投資家全般に言えることだが、そろそろ外債利回りより為替差損を心配した方がいいと思いますけど。金利は先取り、その金利分はインフレによる通貨価値の減価償却で後追い清算されますからね。