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「政策金利-インフレ率=実質金利3%超」だからトルコリラを買う?

(ロイター)新興国のうちリーマンショックの教訓から最も学ばなかったのがトルコで、逆に一番対策を講じたのがロシア──。欧州復興開発銀行(EBRD)のチーフエコノミスト、セルゲイ・グリエフ氏はこうした見方を示した。
グリエフ氏は「新興国にとって(リーマンショックの)主な教訓は、自国に厚みと相当な規模を持つ金融市場を構築する必要性だ。それがないと、他国で発生した問題が外的ショックとして波及し、危機を迎えてしまう」と語った。
こうした発言は、世界的な超低金利局面でドル建て債務を膨らませ過ぎた国に対して国際決済銀行(BIS)や国際通貨基金IMF)が行った警告とも相通じる。

(ロイター BREAKINGVIEWS)トルコの常識の発露には限界がある。中央銀行は市場の予想よりも大幅な利上げに踏み切り、エルドアン大統領の反対を押し切って独立性を保ったという意味で喜ばしい兆しが見えた。これで通貨危機は回避できるかもしれない。だが政府に内在する脆弱性は消えることはない。
通貨リラは、トルコの経常赤字拡大や多額の外貨建て債務への懸念、全般的なドル高を背景に、今年に入って対ドルで40%余りも値下がりしてきた。そしてエルドアン氏が「(高)金利の敵」を自称し、トランプ米大統領とも外交的に対立して米国から制裁を科されたことで、本来混乱していた状況を危機へとエスカレートさせてしまった。13日の利上げ発表直前にはエルドアン氏が中銀不満のボルテージを一段と高める発言をしたため、中銀の受け身的な印象が増した。
ところが中銀は今、遅ればせながらも期待された役割を果たしつつある。今年の予想物価上昇率の20%より低い17.75%だった政策金利を一気に6.25%ポイント引き上げ、24%にしたのだ。これで実質金利は3%超となったことを意味し、ソシエテ・ジェネラルのアナリストチームが通貨安定に必要と提言した水準に達した。
リラ相場が持ち直したのに伴い、トルコはさらなる危機を免れ、国内の銀行や企業は外貨建て債務の借り換えができるかもしれない。
それでも足元の平穏さは、見せ掛けだけなのではないか。中銀が適切な行動をしていることで、エルドアン氏の振る舞いがますますおかしくなるリスクが出てくる。同氏は来年3月の地方選を控えて歳出拡大を求めたり、あるいは米国との関係をもっと悪化させる事態もあり得る。
そうした中銀と政府がそれぞれ「良い警官」と「悪い警官」の役回りを演じ続けるのは、ますます難しくなるだろう。経済成長率は既に、昨年の7%から今年は3%まで減速が見込まれている。経済が一層下振れすれば、中銀と政府のあつれきが強まり、金融政策の選択肢が制約されかねない。中銀が「バズーカ」を撃ったのは正しかったが、残った弾は限られている。

まぁ、両記事とも正論でしょう。
しかし、「政策金利-インフレ率=実質金利3%超」だからトルコリラを買う? まともな国なら、それは魅力的かもしれない。
しかし、まともではないからトルコリラは売られる。言い換えれば、多くのリラショ-ト派は「エルドアン売り」であって、大統領が代われば今後の期待感から通貨危機はひとまず回避できるかもしれないと思うが、それができないからこそのトルコリラ売りだと思われる。