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見えない英国のEU離脱の道筋

英国のEU離脱が8カ月後に迫り、協定なしの無秩序な離脱が現実味を増している。7月19日には、欧州連合(EU)の欧州委員会が英国の離脱に無秩序な離脱を含むあらゆるシナリオに備えるよう促す文書を公表した。
今年3月23日のEU首脳会議では、EU離脱後、2020年末までは現状を維持する「移行期間」とすることで合意している。しかし、移行期間は、「離脱協定」に盛り込まれているもので、離脱協定のすべての項目で合意しなければ、移行期間の合意も白紙化する。
離脱とともに協定が発効し、移行期間に入る「秩序立った離脱」には、10月18日に予定する次回のEU首脳会議で、離脱協定と離脱後の英国とEUの「将来の関係に関する政治宣言」で合意する必要がある。
英国のEU離脱の道筋が見えない理由は、EU側がメイ政権の妥協案をそのまま受け入れることが難しいからというだけではない。
そもそも、白書をまとめたメイ政権の存続も危ぶまれている。デービット・デービス前離脱担当相に続き辞任したボリス・ジョンソン前外相がメイ政権の方針を手厳しく批判している。今後の交渉の展開、あるいは世論の動き次第では「メイ降ろし」の動きが本格化する可能性もある。
仮に、メイ政権がEUとの交渉をまとめたとしても、離脱派が約束したような「いいとこどり」とはならないため、強硬派と穏健派が共に不満を抱くだろう。
協定なしの無秩序な離脱は、EUとの協議が決裂する場合だけでなく、協議の結果を英国議会が否決した場合にも起こりうる。
英国内の対立解消の切り札は見当たらない。強硬派はEUと穏健派を、穏健派は強硬派を非難し続け、このまま無秩序離脱に突き進むことになれば、最悪のシナリオだ。 (ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主席研究員)

まぁ、この人にとっては「最悪のシナリオ」かもしれないが、私fxdondonにとってはそれが「メインシナリオ」なんですが。

さて、ハ-ドブレグジットによる英国からの人材流出で、ドイツのフランクフルトは、英国の欧州連合(EU)離脱の影響から逃れようとする銀行員を呼び込む取り組みに力を入れてきた一方で、勢いが失われる可能性がある。
ロンドンからの人員の誘致合戦で、パリがフランクフルトに追い付いてきているように見えるほか、幾つかの金融機関は単一の拠点を築くのではなく、EU域内の幾つかの場所にスタッフを分散させる道を選択している。
金融センター化の推進団体「フランクフルト・マイン・ファイナンス」(FMF)によれば、そのような状況はフランクフルトを失望させる結果を招く可能性がある。
FMFのマネジングディレクター、フーベルトゥス・フェト氏は「移転先のあらゆる選択肢を残しておくために大部分の銀行が欧州各地に広く仕事を分散しようとしており、それは明らかな警戒シグナルだ。ドイツの観点からすれば、確実と考えられていた利益を失うリスクが存在する」と指摘する。
米銀JPモルガン・チェースゴールドマン・サックス・グループは、英国のEU離脱への緊急対応策として、EU域内の複数の拠点に行員を異動させる計画だ。バンク・オブ・アメリカBOA)は昨年後半の段階で、当初セールスおよびトレーディング担当者200人前後をフランクフルトとパリに移す方針を明らかにしていた。
ロンドンに拠点を置くEUの銀行監督機関、欧州銀行監督機構(EBA)の移転先が昨年11月にパリに決まり、フランクフルトとダブリンは退けられた。フェト氏はフランス政府の働き掛けを受けたこの決定について、フランクフルトの雇用に影響を与えるのは間違いないとしながらも、英EU離脱の結果、今後5年で最大1万人の職が創出されると引き続き予想している。(ブルームバーグ