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fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

今現在とリ-マンショック時とどっちが深刻?

個人的に、たまに覗く「ザイFX!> 相場を見通す超強力FXコラム」。
その中で、コラムニストの陳満咲杜氏がいますが、失礼ながら本当にこの人はセンスがない。おそらく、円安論者の典型であり、注意を喚起するためにここで採りあげることにします。

最新コラム
『米ドル/円はさらに下がっても、あくまで一時の行きすぎ!? 米金利も底打ち間近!2019年08月09日(金)東京時間 15:22』
米10年物国債利回りは、8月1日(木)に7月安値1.939%を割り込み、8月7日(水)には一時1.595%の安値を記録、想定よりさらに大きな急落を演じた。
米中対立の激化やFRB継続利下げの思惑に、米国株の急落もあって、安全資産の米国債への資金流入が一段と激化した結果だと言える。

このような結果を語る最新のコラム。
しかし、過去のコラムを振り返ると、
2019/08/02 16:58
『米ドル/円波乱の最大の要因は?トランプ氏の対中ツイートは「きっかけ」にすぎない!』
2019/07/26 16:43
『いよいよ運命のFOMC!米利下げが実施されたらドル安? ドル高?米利下げがあるから米ドル安という発想は理論上の根拠なし』
2019/07/19 15:35
『市場心理の割に米ドル/円は底堅い。利下げ実行で調整下落終了の公算大』
2019/07/12 15:27
『「米利下げ後に円高が進む説」への懐疑。円高ピークを示唆する2つのフォーメーション』
2019/07/05日
『米長期金利の低下はすでに限界で下値は限定的。ドル/円は「きっかけ待ち」の段階か』
2019/06/28日
リーマンショック時より低い米長期金利は行き過ぎ! 米ドル/円の反発はこれからだ。米ドル/円の107円割れが円高のクライマックスだった可能性』

これらのコラムからわかることは、陳氏には大きな2つの読み違いがあります。
ひとつは米長期金利への観方と、現在とリ-マンショック時の状況認識の観方です。
彼は6月末あたりに米長期金利は下がり過ぎと観ていた。結果からも、完全に独りよがりの予想でした。なぜ彼はそう思ったのかというと、今現在がリ-マンショック時よりもまだ 『まとも』 だと思っていたからでしょう。2008年あたりは銀行がバタバタと潰れ、経済指標も現在よりは悪化の状況だったため、今現在は当時よりも雲泥の差がある、そう考えていたのでしょう。
そして、現在の米中対立を単なる貿易摩擦としか認識していないんだと思います。通商上の問題としか観ていないんですね。
そこが、間違っています。米中が覇権をかけた戦争を静かに進行させていることを見逃しています。ある意味、リ-マンショック時よりも現在の方が重大なリスクを抱えているという認識がないからです。経済大国、軍事大国の2ヶ国の対立というのは、とてつもない脅威であることがまるでわかっていないようです。
マスコミは、米中開戦、米中武力衝突について、報道を自粛しているというか、今後の展開を予想するような記事を発表したがりません。「そうならないで欲しい」、そんな願いもあるのでしょうが。
なぜ、国債10年債でマイナス利回りが多発しているのでしょう?
日本10年債 -0.218
ドイツ10年債 -0.567%
オランダ10年債 -0.456%
スイス10年債 -0.921%
このあたりの国々は経常収支黒字国として、驚きには値しませんが、
フランス10年債 -0.267%
ベルギー10年債 -0.218
フィンランド10年債 -0.309%
と、マイナス利回り国債が続出しています。
現在、スペイン10年債 0.279%も、いずれマイナス利回りになると思われます。
なぜ、マイナス利回りになっても国債買いへ投資家は動くのか、重大なリスクとはいったい何か、そのへんのところに目を向けない陳氏のような人はこれからの相場でも勝てないでしょう。おそらく、小勝大負だと思います。
まぁ、陳氏に限らず、円安論者、円悲観派は少なからずいます。こういった人たちがいるから、円高論者、円楽観派は円高局面で為替差益が享受できます。世の中、こういった円安論者、円悲観派がいなくては困るのも事実で、円高論者、円楽観派にとっては彼らがスポンサ-になってくれている、そう捉えることもできます。
そして、1年前から現在、1ヶ月前から現在、10年債利回りが低下している国がほとんどですが、1ヶ月前から現在の方が利回りの上昇している例外の国があります。今どき、そんなに景気に良い国があるのかと思いますが、それとは真逆の理由で国債利回りが上昇しているのが南アフリカです。
先月7月、JPモルガン・アセット・マネジメントのファンドは新興国・地域の資産を敬遠していると報じられました。JPモルガンの500億ドル(約5兆4000億円)規模の「グローバル・インカム・ファンド」は新興国・地域の債券と株式の保有比率をそれぞれ3%に半減させ、その代わりに欧州のジャンク(投資不適格)級社債米国債を購入することを選択しました。共同運用者のエリック・バーンボーム氏が明らかにしたところ、米中貿易戦争のリスクにさらされていることから新興国の見通しに懐疑的だという。
このことはJPモルガンに限らず、新興国投資を見直すファンド、投資家が続出。南アフリカについては、現在のところは経済危機までの想定にとどまっていると思われるが、これまで対外債務を膨らませてきた同国は現在の外貨準備高は『雀の涙』ほどでしかなく、債務不履行の可能性すらある。
中国に大きく依存し、中国に染まった国は、現在がリ-マンショック時よりも深刻な事態だという事実を認識しておいた方がいいと思います。