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世界経済の“最大のリスク”は中国ではなく欧州?

米中貿易戦争は両国経済に大きな損失をもたらすと懸念されているが、実は世界経済の成長における“最大のリスク”は欧州であるとの様相が強まっている。ユーロ圏の2018年12月の鉱工業生産が金融危機以来の大幅なペースで落ち込んだほか、18年10~12月期のユーロ圏の域内総生産(GDP)改定値は前期比0.2%増にとどまっているためだ。域内外から景気への逆風が増し、ユーロ圏の今年の成長率はわずか1%前後へと急低下する恐れがある。
これまで欧州が抱える問題の中心は経済規模の小さいギリシャなどだった。しかし、景気減速に見舞われているのはドイツやフランスなどの中核国だ。ドイツは製造業の不振が長引き、経済見通しが悪化。燃料税引き上げに端を発した抗議運動に悩むフランスも、個人消費が停滞した。両国経済はユーロ圏全体の約半分を占めるだけに、欧州経済は驚くほど急激に勢いを失っている。
市場関係者の欧州経済の先行きに対する懸念は強まるばかりだ。ロンバード・オディエのチーフ投資ストラテジスト、サルマン・アーメド氏は「私がいま懸念しているのは欧州だ。中国は確かに減速しているが、強力な刺激策が準備されつつある。しかし、欧州では事態が急速に悪化している」と指摘する。また、独アリアンツの副チーフエコノミスト、ルドビク・スブラン氏は「フランスが消費せず、ドイツが製造しなければ、ユーロ圏はひどい苦境に陥る」と危惧する。
問題はそれだけではない。イタリアの財政運営への懸念が高まる中、同国債利回りは再び上昇し始めており、銀行の健全性には疑問が残る。また、英国の欧州連合(EU)離脱問題は依然、解決していない。
5月の欧州議会選挙で反EU勢力が議席を増やす懸念もある上、4月末に実施されるスペインの早期総選挙もリスクになりそうだ。
EU統計局(ユーロスタット)が13日に発表したユーロ圏の昨年12月の鉱工業生産指数(建設除く)は前月比で0.9%低下し、市場予想(0.4%)を大きく上回る落ち込みとなった。前年同月比では4.2%低下、金融危機の余波が残っていた2009年以来の下げ幅を記録した。
14日に発表された10~12月期のドイツGDPはゼロ成長とリセッション(景気後退)は辛うじて回避したものの、域内随一の経済大国のドイツすら厳しい状況にある。同四半期のユーロ圏のGDP改定値は前期比0.2%増だった。ドイツ銀行のチーフエコノミスト、デイビッド・フォルカーツランダウ氏は「欧州では経済の下振れリスクが急上昇している」と分析している。(ブルームバーグ