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失業の“時限爆弾”を抱えた英国

NHK
新型コロナウイルスで経済に甚大な打撃を受けたイギリス。4月から6月のGDP=国内総生産の伸び率はー59.8%(前期比/年率換算)と、日本やアメリカを大幅に上回る落ち込みとなりました。一方、政府の雇用対策によって、今のところ失業率に急激な悪化は見られていません。ただ、この雇用対策は10月末に終わる予定で、その後、仕事を失う人が大量に生まれるおそれが高まっています。(ロンドン支局記者 栗原輝之)


新型ウイルスの感染拡大が深刻になったことし3月、イギリスでは大半の店舗が営業を取りやめ、働く人の多くは自宅待機を余儀なくされました。失業者が増える事態を防ごうと、政府は、仕事がない人を雇用し続ける事業者に、賃金の80%を支援する措置を始めました。従業員1人当たりの上限は月額2500ポンド(日本円で34万円)。

政府は、これまでに120万の事業者の、延べ960万人が対象になったとしています。支援は段階的に縮小しながらも続いていて(9月は賃金の70%、10月は60%)、最新の失業率は4.1%と感染拡大前と大きく変わらない水準です。

しかし、10月末に支援策の期限切れを迎えると、仕事を失う人が急激に増えると見込まれています。中央銀行イングランド銀行は、年末には失業率が7.5%にまで跳ね上がると予測していて、失業の“時限爆弾”を抱えたような状態になっているのです。

経済界からは支援措置の継続を求める声が上がっていますが、イギリス政府は予定どおり打ち切る方針です。これまでの支払いは354億ポンド(およそ4.8兆円)にのぼっていて、財政上、際限なく続けることは難しいと考えているのです。

雇用支援の課題は、日本やほかの国にとっても無関係ではありません。日本には、イギリスの支援策に似た雇用調整助成金という制度があります。新型ウイルスによる経済の打撃を受けて、政府は特例として支給の上限額を引き上げていますが、この措置は年末で期限を迎えます。

アメリカでも、中小企業の賃金の支払いを肩代わりする措置が8月で期限切れとなり、再開に向けた与野党協議の行方が焦点になっています。

各国はいずれも厳しい財政事情を抱えていますが、雇用は、暮らしを支える根幹です。新型ウイルスの収束が依然として見えない中で、どうやって雇用を守っていくのか、難しい問題に向き合う必要に迫られています。