今のアルゼンチンペソ そしてトルコリラ
今、アルゼンチンペソ相場はどうなっているのでしょう?
アルゼンチンのインフレ率も、このところの原油安の影響で年50%を割り込んでいます。
しかし、依然としてインフレは制御不能となっています。致命的なのは食糧インフレ(FPI)が50%を超えていること。今、100円の食べものが来年には150円以上になっているということです。嗜好品とか贅沢品の物価が上がる分には問題も小さいのですが、日々食べなくてはならない食糧価格が跳ね上がっていくのは致命的と言えます。
(アルゼンチンのインフレ率)
為替相場ですが、アルゼンチンペソの対円相場で、10年前から現在までの下落率は93%。年平均9.3%の下落です。
(10年間のARS/JPY相場)
10年前に1ペソ23円台だったものが、今現在では1.6円。これが現実です。
気になるのが、我々がすぐにでも取引できるトルコリラ/円相場でしょうか。
トルコのインフレ率はアルゼンチンの3分の1から4分の1程度ですから、アルゼンチンペソのような下落スピ-ドではないでしょう。
直近のトルコリラ/円
10年間推移
2018年、対米関係の悪化をきっかけにリラが年初来で 50%近く暴落(トルコ・ショック)し、インフレ率は一時 25%台にまで急騰してしまいました。
高インフレ体質の要因の1つに、国民によるリラへの信認の低さが挙げられます。要するに、長年の高インフレに懲りてトルコ人自身がリラの価値を信じておらず、ドルやユーロなど外貨で資産を持つ傾向が高いのです。トルコ国内における全預金残高を通貨別でみると、その約半分が外貨預金(主にドル建て)で占められています。 トルコ・ショックが発生した 2018 年 8 月頃は、前年比で70%の増加が見られました。自国通貨トルコリラへの信認の低さがうかがえます。
2001年2月より、トルコは変動相場制に移行しました。以降、トルコ中央銀行は原則として為替レートの決定は市場に委ねる、としています。
外貨準備高の目安として、国際通貨基金(IMF)は適正外貨準備額(Assessing Reserve Adequacy Metric、ARAM)を提唱しています。
ARAM とは外貨流出リスクの備えとして必要とされる外貨準備高で、輸出、マネー ストック、短期対外債務、その他負債(債券、証券)の金額をもとに算出されています。 IMF は、この ARAM の 100~150%を適正水準としていますが、トルコの外貨準備高は80%程度と適正水準を下回っているのが現状です。
それだけではありません。今後 1 年以内に予定される外貨流出額を勘案すると、外貨準備高は大幅に目減りします。今後 1 年以内に流出する可能性のある金額は、最悪の場合、1 年後には外貨準備が枯 渇するかもしれない状況(100%に近い状況)であることが示されています。