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中国は統計操作をやめたのか?

ロイターコラム:中国は統計操作をやめたのか、GDPに見る本気度
Pete Sweeney
[香港 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国国家統計局が17日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)統計は、すがすがしいほど正直な内容となった。
第1・四半期のGDPは前年同期比6.8%減。公式統計の公表を開始して以降、初のマイナス成長となった。
中国のGDP統計は政治的に利用されることが多く、国内統計の中でも特に信頼性が低いとみられていた。だが、今回の統計は多くのことを物語っている。中国政府は経済運営のあり方を見直しているのではないだろうか。
エコノミストは今回のGDP統計が厳しい内容になると予想していたが、市場では、中国政府が以前のように統計に手を加えて実態より良い数字を示すのではないかとの見方が浮上していた。
ところが、国家統計局が今回発表した一連の経済指標は、信じがたいほど弱い内容だった。GDPがロイターの集計した市場予想を若干下回ったばかりか、他の指標も軒並み厳しい水準となった。
3月の小売売上高は前年比15.8%減。1─3月の固定資産投資は前年比16.1%減。2月に公表された指標も、同様に悲惨な内容で、公式な経済成長目標である6%前後を達成できない公算が大きい。
一部では、中国が当初、新型コロナウイルスの感染拡大を隠していたとの批判が出ているが、国家統計局がその後の国内経済の情勢を実態より良く見せかけていると批判できる人は少ないだろう。
これはただ単に、現実的な思考に起因しているのかもしれない。良い数字を発表すれば、政府があざ笑われ、不信感が募る。基準となる統計値が低ければ、その後の急激な回復も演出できる。
だが、今回の悲惨な統計は、中国の経済運営のあり方を変えようとしている改革派を大きく後押しするきっかけになるかもしれない。
例えば、今回の統計を見ると、2010ー20年にGDPを倍増させるという目標は達成できない可能性がある。この目標は物議を醸しており、中国政府は概ね言及を避けるようになってきている。
政府が次にとるステップと考えられるのは(1)年間の経済成長目標を下方修正し、「達成目標」ではなく、現実的な「予測」に近づける(2)経済目標自体を撤回する──ことだ。
中国人民銀行中央銀行)の馬駿・金融政策委員は、以前からGDP目標の廃止を主張しているが、同委員に賛同する国内エコノミストは増えている。経済成長率と、特定産業の支援を過度に重視すれば、国の投資が歪むという見方だ。
例えば、中国の多くの都市には世界に誇れる輸送インフラがあるが、医療支出はGDP比で世界平均の半分にとどまっている。今回の新型コロナの流行では、この弱点が露呈した。
新型コロナの流行は、中国政府が経済運営のあり方を変える契機となるかもしれない。悪いニュースは良いニュースに変わる可能性がある。