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南アランドを買い持ちにしている筋にご忠告

アフリカ最大の工業国で多くの日本企業も進出する南アフリカの全土で、3月26日から厳しい外出規制が始まりました。しかし、現地では、医療体制が不十分なうえ、治安情勢も不安定なため、混乱の広がりが懸念されています。
南アフリカでは、3月5日に最初の感染者が確認されてから感染が急速に広がっていて、感染者数は1500人を超えました。
こうした事態を受けて、南アフリカ政府は、26日深夜から全土で厳しい外出規制を始めました。期間は3週間の予定で、医療や治安関係者などを除くほとんどの国民が自宅にとどまることが義務化されるほか、航空便の運航がすべて停止され、国外に出ることができなくなりました。
また、南アフリカでは、一部の富裕層向けの病院以外は医療水準が低く、新型コロナウイルスに対するぜい弱性が指摘されています。おそらく、自宅待機、外出禁止は長期化するでしょう。
北部リンポポ州の公立病院の例で、医療設備が足りておらず、保健省の職員は、「人工呼吸器の使い方を知るどころか、見たこともないだろう」と話していました。南アフリカでは、免疫力を破壊するエイズウイルスへの感染率が成人で20%を超えています。そのため、致死率も高くなることが見込まれます。

トヨタ自動車は3月26日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、南アフリカの完成車工場を同日から4月16日まで稼働停止にすると明らかにしました。トヨタ南アフリカで、カローラピックアップトラック「ハイラックス」などを造っており、昨年は約13万7千台を生産しました。
また、南アフリカ航空は3月27日から4月16日まで、全ての南アフリカ国内線を運休しています。
そのような折、格付け大手ムーディーズは3月27日、南アフリカ共和国の長期債務格付け(外貨建て、現地通貨建て双方)を「投資不適格級」となる「Ba1」に格下げし、見通しは「ネガティブ」のままとしました。格付け大手の中で唯一「投資適格級」を維持してきたムーディーズも、2019年11月に長期債務格付けを投資適格最低の「Baa3」の「ステイブル」から「ネガティブ」への格下げに踏み切ったばかりで格下げせざるを得ませんでした。
ムーディーズは今回の格下げの理由として、経済の構造的な成長停滞と不可避な財政赤字の拡大、不安定な電力供給やビジネス・投資の景況感の低迷、政府の構造改革の遅れなどを挙げた。南ア政府は2月に発表した2020/2021年度予算案で、2020年の経済成長率を0.9%に下方修正し、これに伴う歳入の減少による財政赤字のさらなる拡大を明らかにしていました。
南ア財務省ムーディーズの発表直後に声明を発表し、「最悪の時に起きてしまった」と嘆いている。新型コロナウイルス感染者が3月30日時点で1300人を超え、3月26日深夜から21日間の外出禁止(ナショナル・ロックダウン)が実施されており、経済に甚大な影響をもたらすと予想されています。
ムーディーズの格下げ発表後、30日に通貨ランドは歴史的な安値となる1ドル=18ランドにまで急落した。しかし、同日に中国人民銀行が7日物リバースレポ金利引き下げを発表すると、31日には1ドル=17ランド後半にまで戻しました。通貨ランドは豪ドルと並び、仮想人民元として市場は取り扱っています。しかし、南アへの不信感はぬぐえず、現在は1ドル=19ランドとランドが史上最安値を更新しています。
当地大手投資銀行インベステックのチーフエコノミストなど多くのエコノミストらは、新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済全体の不透明性の高まりにより、南アの財政赤字が拡大し、ムーディーズや他の格付け企業も年内のさらなる格下げもありうると指摘している。

最後に、南アランドを買い持ちにしている筋にご忠告しておきます。今は、おやめなさい。今が底だと、勝手な独断はおやめなさい。
ろくに経済動向の動きや知識もなく、過去の経験則も知らず、ただチャ-ト図に線を引っ張って売りだ買いだと判断している人は、ランド買い持ちで死にます。おっと、まだ結果が出ていないかも知れませんので、死ぬでしょうと申し上げておきます。
ランドを買い持ちにするべきか、売り持ちにするべきか、大局的には南アの財政赤字の増減、対GDP比の財政赤字比率で決まります。これが常識です。エコノミストやアナリスト、ヘッジファンドマネージャーなどでは常識であり、AIもそれでデフォルト確率をシュミレ-ションします。
南アの財政赤字は、今後も間違いなく増加します。企業からの法人税収入、個人の所得税収入など税収は間違いなく減り、景気対策と銘打って財政支出財政出動は拡大します。コロナウィルス対策だけでも、相当な財政赤字拡大につながります。
まぁ、以上のような言葉で伝えるより、下図を観た方が説得力がありますかね。

(USD/ZARと南アフリカ財政赤字推移)

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