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中国経済指標 予想以上の悪化

中国の国家統計局は1~2月の経済統計を発表したが、新型コロナウィルスの影響によって、主要な統計数字は軒並みマイナス成長になった。

工業総生産額は昨年同期と比べて13.5%の減少で、うち国有企業は7.9%減、外資系企業は21.4%減、私営企業は20.2%減だった。業種別では製造業が15.7%減、電力やガスなどエネルギー関連産業も7.1%減だった。一方医療や防疫関連グッズは増産され、マスクとアルコール消毒薬は各々127.5%増と16.5%増だった。また冷凍肉は13.5%増で、インスタント麺は11.4%増だった。ハイテク製品もおおむね順調でスマホは119.7%増、半導体は31.4%増だった。
サービス業も13.0%減であった。うち金融業は4.5%増、情報やソフト産業は3.8%増であったが、その他の業種は軒並みマイナス成長だった。
消費も20.5%減となり、うち都市では20.7%減、農村では19.0%減であった。外出が制限されたこともあって飲食業は43.1%もの大幅な減少を記録し、小売も17.6%減であった。ネット販売すら3.0%減少した。
全国の固定資産投資も24.5%減少し、うちインフラへの投資が30.3%減、製造業への投資が31.5%減、不動産開発への投資が16.3%減であった。産業別にみると第一次産業への投資が25.6%減、第二次産業への投資が28.2%減、第三次産業への投資が23.0%減であった。
一方消費者物価は5.3%上昇し、うち食品価格が15.6%上昇、医療費も2.2%上昇した。食品価格のうち上昇幅が大きかったのは豚肉で125.6%、生鮮野菜で13.8%の上昇を示した。このため食品とエネルギーを除いた消費者物価の上昇は1.3%にとどまっている。
また都市の失業率は6.2%だった。
貿易額も9.6%減で、うち輸出が15.9%減、輸入は2.4%減であった。
国家統計局は、新型コロナウィルスの衝撃は大きかったが、疫病との闘いは短期的なものであり、コントロールが可能だとしており、ウィルスの抑え込みに成功しつつあり、経済が好転する局面になっている、としている。また発表数字のなかでは、増加しているものを意図的に多く発表しているようにも見受けられる。
ただし例えば、失業率については、春節で故郷に帰っていて、都市に戻れなかった出稼ぎ労働者などは含まれておらず、実際にはもっと高いはずである。人々は生活の先行きが見通せないので、消費が伸び悩んでいると思われ、ネット販売すら減少していることからも、消費の回復にはなお時間がかかろう。
また貿易についても、世界中に新型コロナウィルスの感染が拡大し、主力輸出市場である米国や欧州での消費の停滞がおきるだろうから、輸出はさらに減少する可能性が高い。そうなれば、工業部門の投資が回復せず、工業生産そのものも回復の足取りが鈍っていくものと思われる。

中国 鉱工業生産 (前年比)

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中国小売売上高(前年比)

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中国バブル経済の崩壊を後に語る上で、「終わりの始まり」に相応しい結果とも言える。


中国経済は今年1ー3月(第1四半期)に前年同期比で6%縮小すると、オーストラリアのマッコーリー・グループが予測した。これが現実となった場合、記録上で初のマイナス成長となる。

発表された小売売上高や工業生産など1ー2月の主な経済統計は軒並み減少を記録しており、マッコーリー・セキュリティーズの中国経済責任者、胡偉俊氏は統計発表後にまとめたリポートで、3月や第2四半期に「前例がないほどの回復」を見せたとしても、中国が今年の成長率目標を達成するのは厳しいだろうと指摘した。