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どうなる英国のEU離脱

フィナンシャル・タイムズ紙 2019年10月9日付

EUとの合意に達しない場合にはリスボン条約50条による離脱期限の延期を首相が要請しなければならないと定めた法律(通称「ベン法」)もできたが、ジョンソン氏はこれを無視できると述べ、ベン法を「降伏法」だと非難している。
そして最悪なことに、次の総選挙を「国民vs議会」の戦いに仕立て上げようと企んでいる。
残念なことに、EUとの離脱協定案はいずれも過半数の支持を得られていない。この点については、残留派と同じくらい離脱派にも非がある。
その結果、「合意なき離脱」が緊急時の代替策として浮上した。しかし離脱派は国民投票の際、合意なき離脱については事実上何も語っていなかった。
合意なき離脱は交渉の終わりなどではなく、始まりにしかならないだろう。
しかしその交渉は、これまでよりも悪い状況下で行われることにる。国中が経済の不確実性に覆われる。まさにばかげた選択だ。
EU加盟国にとってEUは単なる通商協定ではなく存在に関わるプロジェクトであることを、離脱派は理解する必要があった。
では、10月31日までに合意が成立しない場合にはどうなるのか。
一つの疑問は、英国政府が望んでいないことが明らかな離脱期限の再延長にEUが同意するかどうか、だ。
実際には不可能に思える。残留派にとっては不十分な成果に、そして離脱派にとっては過大な譲歩になるからだ。
残留派はEUにとどまることを望んでいる。そして離脱派は、英国をEUの関税同盟にとどめて英国の貿易政策に無期限に制限を加えることになる、アイルランドのバックストップ(安全策)を拒否している。
2つ目の可能性は、国民投票を再度行うことだ。
おそらく、「合意なき離脱」か「EU残留」のどちらかを選ぶものになるだろう。
合意の有無は最初の国民投票ではほとんど問われなかったため、この2択は妥当なはずだ。ただ、国民投票を実施するには、暫定政権を立ち上げる必要が生じる。これはかなりの難題だ。
そして最後に、総選挙を前倒しで行う可能性も考えられる。
総選挙の欠点は、ブレグジット以外にも多くの問題がかかわってくることと、再びハングパーラメント(宙ぶらりん議会の意、単独過半数を取る政党がない状態のこと)になる恐れがあることだ。
ジョンソン首相が反議会の選挙運動を展開することから、短期的にも長期的にも悲惨な結果をもたらしかねない。ただ、ブレグジットの問題は、一時的には解決されるかもしれない。
ジョンソン氏は、ナイジェル・ファラージ氏と同氏の率いるブレグジット党から支援を得ながら、悪魔を解き放つことで選挙に勝とうとするだろう。悪魔たちが大きな被害を、非常に長い間この国にもたらすことは間違いない。

 

この記事の内容は、記者の主観に基づいたものですね。明らかに、反ジョンソン、EU残留希望の立場から記事を書いています。

英国は議会で新たな会期が始まる前に政府の施政方針を元首が読み上げることになっていて、エリザベス女王は上下両院の議員を前にジョンソン政権の重点政策を示した。
エリザベス女王は政府の優先事項が10月31日に英国をEUから離脱させることだとコメントした。ジョンソン政権の重要政策として自由貿易と友好的な協力のもとにEUと新たな関係に向けて取り組んでいくと表明した。
17日からのEU首脳会議までに、英国とEUが合意に至れるかが最大の焦点。ジョンソン首相はEU首脳会議の翌日となる19日に特別に議会を開き採決を行う見通しだが、議会での過半数を失っているため、野党側などが同調しない限り同意は得られない。
19日までにEUとの間で合意ができない場合、ジョンソン首相はEU側に離脱期限の延期要請が義務付けられているが、ジョンソン首相は延期はないと繰り返し強調している。ジョンソン首相はEU側に「要請」はするが、EUが受け入れないという理由で31日に「離脱宣言」を行うものと思われる。
女王の口から「10月31日に英国をEUから離脱させる」と言わせたのだから、もはや離脱期限の延期は英国にとって恥の上塗りとなる。1度目の3月末の離脱日を延期し、2度目の10月末の離脱日を延期は、「待った」の泣きの一手から泣きの二手をお願いするようなもので、誇り高き英国にとってはこの上ない恥さらしとなる。
英国のEU離脱はジョンソン首相によって実行される、その観方は個人的に変わらず。