fxdondon’s blog

fxdondon presents 世界の政治・経済・財政を考察し、外国為替相場を読み解きましょう

「合意があろうとなかろうと、もっと早くにEU離脱しておけば・・・」と回顧することになる

最高裁判所は17日、ジョンソン首相による議会閉会措置の妥当性を巡る訴訟2件の審問を開始した。審問は19日まで続く見通しで、判決によっては議会の閉会中止を余儀なくされる可能性もある。
英議会は10日に今会期を終了。10月14日に新会期が始まるまで、ブレグジット問題を含めて一切の審議が停止される。合意の有無にかかわらず10月31日にEUを離脱することを目指すジョンソン首相が先に決めた措置で、合意なき離脱に反対する議会の横やりを避ける狙いだった。しかし、野党各党が提出した合意なきEU離脱の阻止に向けた法案は女王の勅許を得て閉会前に法律として成立。これにより、ジョンソン氏は10月19日までにEUから合意を取り付け、議会の承認を得られなければ、離脱期限を現行の10月31日から来年1月31日まで延期するようEUに要請することを義務付けられた。
しかし、ジョンソン首相は16日、ルクセンブルク欧州委員会のユンケル委員長と会談し、英国の欧州連合(EU)離脱について協議した。ジョンソン首相はこの会談で、EUとの合意成立に意欲を示す一方、合意がまとまらなくても離脱延期は要請せず、予定通り10月31日にEUを離脱する意向をあらためて示した。
EU側は、北アイルランドをめぐるブレグジット合意の「バックストップ条項」について、英側から実現可能な代替案の提示はなかったとしている。
再び離脱期限を延伸させるのは英国側の勝手だが、それを受け入れるかどうかはEU側にかかっている。
10月17日(木)から開催されるEUサミットで英国側が離脱交渉期間の延長を要請した場合、EU27カ国すべてが承認するのかどうか?
フランスのル・ドリアン外相は、「英国は、3カ月に1度ずつ離脱交渉期間の延長を要請するつもりなのか? 英国は本当に何をしたいのだろう? それをきちんと伝えてくれない限り、このような頻繁な交渉期間延長は認められない」と切り捨てた。
また、欧州議会ブレグジット問題対策グループ座長を務めるギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)は9月8日、このル・ドリアン外相が、EUとして10月31日以降に英国のEU離脱ブレグジット)の期日の延期を許可しないだろうと発言したことについて、この意見に賛同するコメントをツイッターに投稿した。
フェルホフスタット議員は、英国政府が(「離脱協定」承認の道筋を示すことができない)デッドロック状態が打破されない限り、ブレグジットの再延期は受け入れ不可能との認識を示した。また、今後の英国の選択肢として、「離脱協定の承認」のほか、「2回目の(ブレグジットの是非をめぐる)国民投票」「総選挙」「ブレグジット撤回」はあり得るとしたが、現在の「救いようのない状況」にEUとして付き合う考えはないことを示唆した。
欧州議会の最大会派・欧州人民党(EPP)グループ(中道右派)のイストゥリス・ホワイト幹事長(スペイン選出・欧州議員)は9月13日、英国が10月31日にEUを離脱(ブレグジット)することを前提に、「ブレグジットに伴って、今後数カ月は厳しい時になりそうだ」と、英国オックスフォードで開催されたフォーラムで発言した。「EU側が望むものではないが、このまま英国が適切な代案を提示できなければ合意なき離脱(ノー・ディール)のリスクは排除できない」と指摘した。
ユーロ・グループ(ユーロ圏財務相会合)は9月13日、ノー・ディールは依然として起こり得るとして、企業を中心とする全ての利害関係者が最悪のシナリオを念頭に準備すべきと、あらためて注意喚起した。
EU側の姿勢を要約すれば、「これ以上、英国側のわがままに付き合いたくない。EUは英国のためにあるわけではない」ということになる。まぁ、当然。

個人的に、一番面白そうなポンドの動きとして、
10月17日開催のEUサミットで英国側が離脱交渉期間の延長を要請 → ポンド高
その後、離脱再延期に否定的な欧州議員の発言 → ポンド安
EU加盟諸国のうち1~2ヶ国が予想外の再延期反対表明、10月31日離脱確定 → ポンド暴落(歴史的なクラッシュ)

合意なき離脱により、
●英国の国債、英企業の社債の格付けが格下げへ
●英企業、生産停止や国外移転を相次ぎ発表
●直接的な通貨取引でのポンド売りの他、金融デリバティブに仕組まれているポンド建て資産(為替、株式、債券、不動産等)の負の連鎖
と、これが後々語られることになる『ポンド危機』へ向かうのかどうか。

余談だが、当初離脱日だった3月に合意なき離脱をしていれば、10月の離脱よりはマシだったと思われます。世界経済の状況は現在よりも3月頃の方がマシだった。離脱延期がズレこむほど、世界経済が減速している時の離脱と重なる。「合意があろうとなかろうと、もっと早くにEU離脱しておけば・・・」、と回顧することになるでしょう。