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原油価格、カナダドル下落と観る

中国の石油需要量は世界の4割を占めるという。しかし足元では、自動車の燃費向上、EV推進政策、自動車から天然ガス自動車への代替、高速鉄道の急速な普及などによりガソリン・軽油消費の伸びが鈍化している。
中国の今年上期のガソリン消費量は前年比13.7%増と堅調だが、今年のガソリン生産量はガソリン消費量を9%上回っているため、中国国内のガソリン在庫は記録的な水準に達している(5月末時点で783万トン)。
中国国家統計局によれば、中国のガソリン生産の前年比増加は続いている(6月には前年比8.7%増の1101万トンで過去最高を更新した)。世界一となった自動車市場の需要拡大を見込んで、精製業者がディーゼルからガソリンに生産をシフトしているという。
中国政府も、国内の供給過剰状態を緩和するため、石油製品の輸出枠を2倍にした。6月の中国からの石油製品輸出量は日量102万バレルと1月から75%上昇も上昇し、さらに16万バレル増える見込みである。
7月24日、G20財務相中央銀行総裁会議で「中国の過剰生産について構造改革が重要」との認識が示された。過剰生産は鉄鋼製品分野に限らず、石油製品の生産過剰も深刻な問題となっている。このままのペースで進めば世界中に中国製のガソリンがあふれかえる事態になりかねない。
一方、中国の6月の原油輸入量は前月比6.0%減の3032万トンだった。6月の原油生産量は前年比8.9%減の1658万トンだったことと合わせると、中国国内の原油需要が急速に冷え込んでいる可能性がある。
中国経済はすでにバブルがピ-クアウトし、静かなる「失われた10年」に突入しているのであれば、原油需要が大幅に減少することは必至であり、中国はますます石油製品の輸出を加速させる結果となるでしょう。
話を飛躍させると、米国のシェール企業も危うい。昨年以降に北米地域のシェール企業85社が破産申請し、負債総額は610億ドルを超えた(7月22日付ロイター)。シェール企業のジャンク債発行額が約5000億ドルであることに鑑みると、原油価格が下落し始めれば負債総額が1000億ドルを超える可能性が高い。原油価格下落によるシェール企業の大量倒産という可能性もある。

通貨の中で、原油価格と関連の高いのはカナダドル(キャンドル)。
カナダの経済指標を観れば、他国に比べて好調だと言える。利下げ観測も浮上していない。
しかし、原油価格が下がるとなれば、キャンドルも値を下げる。
今すぐ原油価格が急落するとは観ていないが、来年にかけて原油価格は下落するものと個人的には観ています。

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AUD/CAD 月足  月足でようやく反転中。とは言え、底打ちかどうかは微妙。

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NZD/CAD 月足

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